相続した土地が売れず、固定資産税が負担です。手放す方法は?
フォーカス 011▶相続した売れない土地
【 質問 】
父から地方にある土地を相続しましたが、買い手が見つかりません。利用する予定もないのに、毎年固定資産税がかかるうえ、草刈りなどの管理もしなければならず困っています。
いわゆる「負動産」の状態になっているのですが、このような土地を手放す良い方法はあるのでしょうか?
【 回答 】
せっかくお父様から引き継いだ土地とはいえ、使い道がないのに維持費や管理の手間だけがかかり続けるのは、本当に気が重いものですよね。
「売れないなら、もう諦めるしかないのかな……」と思ってしまうかもしれませんが、実は次のような手放し方の選択肢があります。
●不動産会社に相談して、価格を見直して再売り出しする
●お隣の土地の所有者さんに、無償(タダ)でもいいから譲れないか話してみる
●地元の自治体や農業委員会に、活用できないか相談してみる
●国の新制度「相続土地国庫帰属制度」を使って引き取ってもらう
●売れない土地を専門に引き取ってくれる民間会社へ譲渡する
特に最近は、相続した不要な土地を国に引き渡せる新しい制度ができたことで、選択肢が広がりました。
今回はこの制度の気になるポイントをQ&A方式で分かりやすく解説します。
1. 話題の「相続土地国庫帰属制度」をQ&Aで解説!
令和5年(2023年)4月からスタートした、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度です。みなさんからよくいただく疑問をまとめました。
Q. なぜ国が土地を引き取ってくれるの?
A. 将来、「所有者不明土地」が発生してしまうのを防ぐためです。
いま全国で、「遠くに住んでいて利用する予定がない」「周りに迷惑がかかるから草刈りなどは必要だけど、管理の負担が大きすぎる」といった理由から、土地を手放したいというニーズが非常に高まっています。
このような土地が、管理されないまま放置されてしまうと、将来「誰の土地か分からない場所(所有者不明土地)」になってしまい、社会的な大問題になります。
そこで、放置されるのを未然に防ぐため、相続や遺贈(遺言によって譲り受けること)で土地を取得した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡すことができる仕組みとして創設されました。
Q. 実際にどれくらい利用されているの?
A. 制度開始から利用は着実に増えていますが、地目によって「通りやすさ」に大きな差があります。
法務省が公開している統計データ(令和8年5月31日現在)を見てみましょう。
【地目別の申請件数】(総数:5,545件)
●田・畑:2,169件
●宅 地:1,916件
●山 林:850件
●その他:610件
【国が引き取った(帰属)件数】(総数:2,762件)
●宅 地:1,018件(申請に対して約53%が帰属)
●農用地(田・畑):879件(申請に対して約40%が帰属)
●森 林(山林):186件(申請に対して約21%が帰属)
●その他:679件
このデータから分かる通り、多くの方が「どうしよう…」と処分に困っているはずの田・畑や山林は、国に引き取ってもらえる割合(帰属率)が低いのが現状です。
宅地であれば半数以上(約53%)が承認されていますが、田・畑は約40%、さらに山林にいたってはわずか約21%(約5件に1件)の承認となっています。
そうはいっても、申請すれば帰属できる可能性もあるため、まずは自分の土地が要件を満たしているか、制度の条件チェックをしてみる価値は十分にあります。
※データ引用元:法務省:相続土地国庫帰属制度の運用状況に関する統計について
山林や農地の承認率がここまで低いのは、「崖(がけ)がある」「境界がはっきりしない」「木や工作物が残っている」といった不承認の条件に引っかかりやすく、審査をクリアするのが非常に難しいためです。
Q. どんな土地でも引き取ってもらえるの?
A. 残念ながら、どんな土地でもOKというわけではありません。
国の管理費は私たちの税金から出るため、審査はそれなりに厳格です。
例えば、以下のような土地は「お断り(却下・不承認)」になってしまいます。
●建物や物置が建っている土地
●他人の担保に入っていたり、誰かに貸したりしている土地
●どこからどこまでが自分の土地か、境界がはっきりしない土地
●急な崖(がけ)がある土地、工作物や木が残っている土地、ゴミが埋まっている土地
実際のデータを見ても、「地上に工作物や樹木が残っている」「境界があいまい」といった理由で不承認・却下になっているケースが目立ちます。
国に返すためには、まず土地をスッキリ綺麗な状態にする必要があります。
Q. 手続きにはお金がかかるの?
A. はい、一定の費用を支払う必要があります。
「国が引き取るなら無料かな?」と思いがちですが、実は「お金を支払って、今後の管理から解放してもらう制度」と言えます。必要な費用は主に次の2つです。
●審査手数料:土地1筆あたり 14,000円(審査に落ちてしまっても戻りません)
●負担金:およそ数十万円〜(無事に審査を通ったら、国が今後10年間その土地を管理するのに必要な費用を、前払いで一度だけ納めます)
2. 「国の制度」以外の解決策にも目を向けてみよう
「国に返すのはちょっとハードルが高そうだな……」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも、ガッカリしなくて大丈夫です。
実は、最新の統計によると、これまでに国へ申請した人のうち1,023件が途中で申請を取り下げています。
その理由の内訳(546件)が、なんと「手続きをしている途中で、他にいい譲り先が見つかったから」という理由なんです。
国に引き取ってもらうために境界を調べたり、周りに相談したりしているうちに、「それなら隣の家が買い取るよ」「地元の農家さんが使いたいと言っている」といった別の解決策がポロッと見つかるケースもあります。
「引取り専門の民間会社」を頼るのも手です
また、どうしても譲り先が見つからない場合の手段として、売れない山林や空き地を専門に引き取る民間会社に依頼する方法もあります。
こちらも国庫帰属制度と同じように、こちら側が処分費用を支払う形にはなりますが、国の制度のような厳しい審査を待つことなく、スピーディに、確実に固定資産税や管理の負担から解放されるため、今選ぶ方が増えています。
さいごに
相続した土地が売れないと、「この先ずっと、子どもや孫の代までこの負担を引き継がせることになるのかな……」と、重い荷物を背負ったような気持ちになってしまうものです。
今回ご紹介した国の制度や民間会社の引き取りなど、一歩踏み出すことで「これからの維持費」を断ち切ることができる可能性もありますので、まずはご相談ください。
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